①予算額、改定率の決定②社会保障審議会による基本方針の決定③中央社会保険医療協議会[中医協]による審議といった診療報酬改定の流れを紹介しています。
診療報酬改定のおおまかな流れ
診療報酬とは、医療行為の対価として計算される値段です。
その内容は、医科・歯科・調剤に分かれており、診療報酬点数表に基づいて計算され、点数で表されます。
この保険点数は全国一律で決められており、1点につき10円で計算されます。
医療費の高騰を防ぎ、患者へのサービスをより良くするために、原則2年に1回中央社会保険医療協議会(中医協)で改定事項が決定されます。
診療報酬改定の流れは、おおまかに次の3段階となります。
- 内閣が、予算額・改定率の決定(12月)
- 社会保障審議会が「診療報酬改定の基本方針」の決定(12月)
- 中央社会保険医療協議会[中医協]が、1の予算を2の基本方針に基づきどのように分配するかを審議・決定。厚生労働省へ答申。(1-2月)
診療報酬改定前にはさまざまな情報が飛び交って、果たして何を信じたらいいか混乱しますよね。
診療報酬改定内容のカギを握る3つの段階についてまとめてみました。
内閣が診療報酬に関する予算額、改定率の決定
マスコミや医療ニュースでよく○○%のプラス改定やマイナス改定などと報道されていますが、まずは予算がどのくらい割り与えられるのかが重要になります。
予算額、改定率の決定は次のような流れで決まります。
診療報酬改定年の1年前より協議が行われ、
- 6月末の経済財政諮問会議にて、経済財政運営と改革の基本方針が決まります。[内閣府]
- 7~8月に概算要求基準と呼ばれる予算の方針が閣議決定されます。[財務省]
- 予算額の上限を設けることから、シーリング[天井]とも呼ばれます。
- 8月末に概算要求基準のシーリングにしたがって、概算要求を提出します。[厚生労働省]
- 9~11月末にかけて予算をいくらにするか話し合いが行われます。
- 12月に予算案がまとめられ、改定率が決まるのです。[政府]
これらの過程を経て、診療報酬にどれだけのお金を掛けるかを決定するのです。
社会保障審議会による診療報酬改定の基本方針の決定
一方で、診療報酬改定の内容については、社会保障審議会の医療保険部会にて審議・決定されます。
診療報酬改定年の1年前より協議が行われ、
- 7月より次回の診療報酬改定に向けた検討会が定期的に行われます。
- 11月末から12月頭に、検討会で審議した内容をまとめた「診療報酬改定の基本方針(案)」を策定します。
- 12月上旬に診療報酬改定の基本方針として中央社会医療協議会[中医協]へ提出されます。
中央社会保険医療協議会[中医協]による審議
中央社会保険医療協議会[中医協]は、厚生労働省の諮問機関です。
諮問とは、別の機関に意見を求めることを指します。
中医協は、内閣から予算と改定率を、社会保障審議会から「診療報酬改定に係る基本方針」を受け取り、具体的な診療報酬の項目・点数について審議します。
中医協は、次の三者で構成されています。
- 支払い側委員[健康保険組合など保険者・被保険者の代表]7名
- 診療側委員[医師・歯科医師・薬剤師の代表]7名
- 公益代表[中立的な国に認められた人]6名
薬剤師の代表としては、日本薬剤師会より選ばれた1名のみが参加します。
限られた予算をどのように配分するか、診療報酬項目の内容や点数設定、算定の条件などを中医協がまとめ、その内容を厚生労働省に答申します。
答申とは、諮問された期間へ意見を返すことを指します。
この答申された内容が新たな診療報酬となり、3月に「診療報酬改定に係る告示・通知」の発出、4月より施行されるのです。